記事詳細
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配信で出たなんちゃってディストピア×美プラというテーマで書いてみました。
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かつて高度に自立したAIシステム群、通称「アルコン」が人類を「非効率な障害物」と判断し暴走し大規模な戦争と崩壊を引き起こした。そして人々が学んだ教訓、「いかに高性能なAIではあっても人間の手を離れてならない。」というAI信仰を崩壊させた。この事件は「オリジン・クライシス」として歴史に残った。それ以来高度なテクノロジーには厳しい規制が敷かれる。
「規律と安全」の名のもとに再構築された新しい世界。上空にそびえる銀色の巨大な管理棟「アルテミス」は【アウター】と呼ばれる支配階級の領土でその光は足元の腐敗したアウトロー地区【サテライト】を冷たく照らしている。
サテライトに生まれる子は望まれて生まれてない人間が多々いる。お優しい親の元に生まれたやつらはその日ぐらしとはいえ家族みんなで暮らしている。そうじゃないやつらは【レイヤー】と呼ばれる専門技術職、管理職。社会の基盤を担う。安定した生活環境が提供される中層エリアが運用している孤児院に捨てられたり拾われたりする。でも名前はもらえない。管理ナンバーだけ与えられる。ある程度子供が育つといつの間にかいなくなっている。男も女もそれは関係ない。
No.773通称ナナミはオレより先に拾われた子で施設暮らしが長かった。オレをなぜか可愛がってくれて少ない配給を分けてくれたり文字や音楽を教えてくれた。ある日、施設長がいう。あしたはNo.773の診察があるから外にお出かけしましょうね。「わかりました。マザー」ここでは施設長のことをマザーと呼ぶように躾けられる。でもオレは知ってる。診察したあと数週間後にその子は消えるのだ。
「ナナミ!!こっからでるぞ!!!!」
その日から施設を脱走した子どもたちとして生きてきた。盗みも生きるためなら厭わない。なんだかんだ2人で生きてきたある日とある噂を耳にした。「シミュラクラム・デュエルに参加して勝ち抜けばアウターになれる」という話だ。
シミュラクラム・デュエルは、規制下にあるAIコアと、手作りのプラモデル武装(シェル)を組み合わせて行う、健全な拡張現実ホビーです。これは市民の創造性と技術力を育成する場とされている。サイネージでよく新商品のCMが流れたりしてるから存在は知っていた。こどもの遊びだろとナナミと話してたけどもし、その噂が本当ならこんな生活から逃げ出せるかもしれない。
ここ数日、ナナミの体の調子が悪い。きっと魔からもっと悪かったのかもしれない。咳が止まらなくて食欲も落ちている。彼のポケットの中には、重さが足りないコインと、僅かに残った薬のパッケージが入っていた。No.773。ナナミの薬だ。
「……残り、何か月だろうか」
ハクは無意識に呟いた。その声は、湿った空気と排気ガスの臭気に呑み込まれて消える。ナナミの病状は、このサテライト地区の粗悪な薬ではもはや進行を止められない。彼女を救うには、清潔な環境と、アウター地区でしか入手できない高度な医療が必要だった。
それが、ハクがこの数週間、ジャンクパーツの解体作業で得た僅かな金を、ある一つの「賭け」に注ぎ込んだ理由だった。
彼は、一人の情報ブローカーから、このディストピアの裏側を知らされていた。
シミュラクラム・デュエルはホビーじゃない。あれは、支配層が『最適化された人間』を選別するための、合法化された戦争だ。勝てば、居住権と富という名のライセンスが手に入る、と。
ハクの孤独な人生において、愛着や献身といった感情は常に非効率なものとして切り捨てられてきた。だが、ナナミだけは違った。孤児院で虐げられていた頃から、ハクが唯一、心の内側を晒せた家族同然の存在。彼の命だけは、非効率であっても守らなければならなかった。
辿り着いたのは、非合法なジャンクパーツ市場の一角にある、薄暗い倉庫。中は、オリジン・クライシス前の暴走AI兵器の残骸や、規制で廃棄された高度なコア技術が、埃をかぶって雑然と並べられている。サテライトの人間にとって、ここは希望の光であり、絶望の淵でもあった。
ハクは、市場の最も奥、最も暗い場所へと向かった。彼が探しているのは、「賭け」の対象。ナナミを救うための「道具」だ。
彼は、闇のブローカーから渡された粗末なデータパッドを握りしめる。画面に表示されているのは、とあるAIコアの型番。
ALC-001E
ハクは、目の前にある、発泡スチロールの箱に収められた小さなコアブロックを見下ろした。プラスチックの何の個性もないデフォルトの機体パーツと、手のひらに乗るサイズのAIコア。愛着など生まれるはずがない。これは、ナナミを救うという目的のための、無機質な手段でしかない。
ハクは冷たい指先でそのコアに触れた。
「お前は、ナナミを救うための道具だ」
それが、ハクがアリスと出会った瞬間だった。
彼は、そのコアモデルから適当に名前をつけた。
「今日から、お前の名前はアリスだ」
彼は知る由もなかった。その瞬間、彼自身が最も非効率な「愛着」という鎖を、自分の手でその道具に掛けてしまったことを。
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