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これは、3月24日に公開された「SAKURA」歌ってみたの前日譚である。
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Episode 0
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20XX年 3月某日。
都内のとある大学にて。
AO入試に合格した男女数名が初めて顔を合わせた。
春からの大学デビューに向けてのミーティングと、学生同士、また、学生と教員との親睦を深めることを目的としたお茶会が開かれるのだ。
はじめは緊張していた面々であったが、次第に打ち解け、話に花を咲かせていった。
ちなみにトークテーマは、「死刑制度についてどう思うか」である。(学生のひとりが提案した論題である)
実に哲学科らしい変わったお茶会であった。
ここで、卯咲らるむは「死刑には反対です。なぜなら、死刑囚は2人以上を殺害しているわけで、そんな罪を死刑囚1人の命で償うのは割に合わないと思います。もっと拷問するとかして死ぬより苦しい思いを一生させ続けるべきだと思います。例えば、指を一本づつ麻酔なしで切断していくとか。」と述べ、場を凍りつかせたことを記しておく。
ともかく、白熱した議論により、学生たちは親睦を深めることに成功したのだろう。その日解散する際に、学生たちは各々の連絡先を交換したのだから。
当時、卯咲はまだ上京前であり、長野県に住んでいたため、新幹線で帰ることになる。東京駅までの乗り換えを不安がっていた彼女に、送っていくと手を挙げた男子学生がいた。仮にA君としておく。ちなみに、死刑について語ろうと言い出したのは彼であった。
東京駅に着き、卯咲が無事に新幹線に乗り込んだことを報告するチャットをしたところから、ふたりのLINEでのやり取りはスタートし、数時間おきにやり取りを重ねるようになった。メル友である。
卯咲が上京前、最後に地元の山に登った際にはLINEで実況をし、遭難しかかって大変に心配をかけた。
A君は自分の顔に自信があるようで、度々自撮りを送ってよこした。(事実彼はアイドルでも通用するほど整った容姿をしていた)
卯咲が上京した後は、はじめてのひとり暮らしでの不安を聞いてもらい、ひとりで寝るのは寂しいとかけた通話は朝まで続いた。
卯咲は彼に惹かれていった。
入学後、他の生徒とも顔を合わせた。その中に彼(仮にB君としておく)はいた。
イスラム教のモスクでのフィールドワークに出かけた際、B君は熱心に話しかけてくれ、それを機にしばしば卯咲と行動を共にするようになった。別の友達と3人で家に遊びに来てくれたり、ラーメン屋さんに行ったりもした。
もちろんA君とも親しくしており、B君はA君と親しくしている事も知っていた。A君とB君、ふたりの男子学生と親しくするなんて、まるで少女漫画のあるある展開である。
卯咲は迷った末、A君に告白することに決めた。
3月から1ヶ月ずっとLINEを続けてきたメル友であるし、なによりはじめてのひとり暮らしで不安だった時に支えてもらった恩がある。
学校終わり、アパートまで送ってもらい、その別れ際に気持ちを告げた。
「入学したばかりだし、勉強に集中したい」
それが返事だった。
ずるいのは最後に抱きしめてきたことである。
この女たらしめ。
とにかく、卯咲の生まれてはじめての告白は呆気なく振られて終わった。
卯咲は泣きに泣いた。
そしてすがった。
B君に。
ひとりで泣くのはあまりに惨めだったので、誰かに話を聞いてもらいたかったのだ。
そして卯咲の気持ちを知っており、最も頻繁にLINEをしていたのがB君だった。
特に下心はなく、ただ話を聞いて慰めてもらいたい一心だった。
振られた旨をLINEすると、彼は家まで慰めに来てくれた。もう日も沈む頃だったのに。
「振られちゃった」と泣くと、「そっか」と彼はひとつ頷き、涙を舐めて「しょっぺえ」と笑った。
狭い9畳のワンルームで、ふたりでベッドに寝転んでたくさん話をした。(えっ…な事はしていません)
学校のこと、実家のこと、なんでもないようなこと…。たびたびA君の話を振ってきて、せっかく泣き止んだのをまた泣かそうとしてくるから、殴った。
ふと、B君がキスをしかけてきた。
逃げなかった。
触れるだけのそれはすぐに離れていったので、もういっかい、とせがんだ。
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