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最近ガンダムZZを見終わったので、その流れで気になっていた 『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』を視聴しました。
たった6話のOVA。それがお気に入りの物語になってしまいました。
ネタバレありになりますが、ゆるりとその感想を綴ります。ガンダムは初心者なので、詳細な構図については分からないところが多いです。このお話の中では、それでも大きな問題にはならないと思います。
舞台は初代ガンダムの物語の後期、クリスマスを控えたコロニー・サイド6。
ある日11歳の少年・アルは、ザクのパイロット・バーニィと出会います。サイド6に隠されたガンダムを巡って、彼らの物語は進んでいきます。
この主人公・アルは戦争ごっこ好きの男の子で、友達とも戦争の話題で盛り上がります。戦争が子供たちの遊びや憧れになるのは平和な世の中ならではですね。
そんな姿を見せてから、コロニー内で戦闘が起こりり始めます。無残にも人々が死んでいく様がZZまでのガンダム以上にリアルでした。
しかもモビルスーツに搭乗しているキャラクターたちも、直接・間接的に傷を負い亡くなっていきます。特にコックピット内のウイスキー缶に、ガトリングで穴が開いていく描写がとても良かった…。
そんな中、戦争に夢を描いていたアルは徐々に現実を突きつけられていきます。
そして物語のラストを締める、壊れた校舎での全校集会。恐らく戦争終結後と思われるシーンです。
校長が戦争について語る中、アルは我慢ならず泣き始めてしまいます。
…ここがとても印象的でした。
軍人同士の撃ち合い、瓦礫から運び出された子供の遺体、彼にとっての身近なヒーローの死。校長の語る話は夢ではなく、逃れようのない現実してアルの心に迫ったのだろうと思います。言い換えれば、他人事ではなくて自分事になってしまったとでもいうのか。
アルの涙する姿を見て、友人らは「また戦争は始まるから、泣くなって」と慰めます。この台詞は戦争が「他人事」だからこそ出てくるものです。同時に平和な世界しか知らない子供だからこその発想だとも思います。
アニメ冒頭でアルとケンカをしていた女の子は、アルが体調不良なのだと考えて先生を呼びにいきます。こちらもまた、校長先生の話がアルの涙の理由だとは知る由もありません。
自分の経験した「戦争」については誰にも話していない様子のアルなので、心配する先生にもきっと本音を語ることはないでしょう。親しい人が死ぬ姿を目の当たりにし、その経験について自分だけで抱えて生きていく…。そのアルの姿に、あまり子供には迎えて欲しくない形の成長を見出しました。
このシーンの少し前にも、アルの父親が「少し落ち着いたか。成長したのかな」のような台詞を残すのですが、この場面もなかなか辛いところがあります。子供が抱えるトラウマから生じた違和感に対して、察することもなく楽観的な親。
できることなら、誰か大人が気付いてあげて、寄り添ってあげて欲しい状況です。
ネットで多くの人が語るショッキングなシーンよりも、私はこのシーンに気分が重くなってしまいました。
主人公補正がない、本編の裏側の戦争物語。
凡人の物語だからこそ描ける人々の生き様が本当にリアルで、誇張しすぎない演出にとても惹かれる作品でした。
たくましい子供たちと共存する、現実としての戦争はOPやEDでもありありと表現されています。特にEDは、物語の途中まで「いつを描いた場面なんだろう」と思うのですが、後半になれば合点がいき、最終回でとある機体にハッとさせられます。
誰かの悲劇は、誰かにとっては日常で、虚しい戦いの後にも残された人は生き続けなければならない。大人だからこそこみ上げてくるものがある、良作でした。
また、いわゆる鬱アニメと分類される作品のようですが、私は特に鬱だとは思いませんでした。意味もなく人が死んでいく様子から「鬱」と分類されていることは察します。けれど、本当に意味がない死というのは「残された人が誰もいない死」じゃないかと思うんです。
今回はアルが残りました。知り合った人々の生き様を見て、理想とは程遠い形ではあるけれど、彼は成長しました。彼の経験や心には亡くなった人々との繋がりが生きています。
仮に作品の中で残された人がいなかったとしても、そのキャラの死を目の当たりにする視聴者がいます。「生きてて欲しかった」という感情が出てきた時点で、そのキャラの退場は無意味な死ではなくなるんじゃないでしょうか。
私はいわゆるバッドエンドもメリーバッドエンドも好きな人間です。今回『ポケットの中の戦争』を見たことで、キャラの頑張りが報われるかどうかに関わらず、そのキャラの生き様や結果をあるがまま、残された側として受け止めるのが私は好きなのだと気付きました。
物語後半で主人公が抱える悲壮と、アンバランスな同世代の子供たちの姿。ただ暗いだけではなく、現実の生活ぶりを思わせるような細かな描写が本当に見事です。直接戦争被害を受けなかった子供たちは、きっとこれぐらい明るく生きてられるのだろうと思えます。
私たちが生きるこの世界も、できるならアルやバーニィのような悲劇も無く、穏やかに過ごせたらいいのですけれど。
悲惨な物語はフィクションだけで十分ですね。
書き忘れてたけどモビルスーツの作画もめちゃくちゃ最高にカッコよかったです。1989年のアニメらしいですが、時代を感じない映像美でした。それもまた必見ポイントです。
ガンダムらしい淡々としたストーリー描写、一般兵や一般人のあるがままの生きる姿、全てが脳みそをガンダムファイトで揺らしてくる『ポケットの中の戦争』。
クリスマスシーズンに定期的に見直したい作品に出会ってしまいました。
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